「切削」マニア論

ジュラコンパーツ(アトリエm4)

 

今回は、ちょっと嬉しいご報告です。

「アトリエm4」さんの新作のチェアのパーツを深江ファクトリーで製作させていただきました。

 

 

この新作チェア、今年の6月にデンマークのコペンハーゲンで開催された国際的なデザインフェスティバル「3days of Design」に出品されたもの。

実は2年ほど前に、アトリエm4の前田さんから「今あるシリーズのクオリティをさらに上げて、デザイン性と機能性を兼ね備えた理想のチェアを作りたい」という思いを聞いていたのです。弊社が担当するのは、チェアの脚の先のジュラコンパーツ。

 

細部にこだわる前田さんのご要望にお応えする、というミッションに少し身構えながら待機していたところ、今年の3月にパーツの図面が送られてきました。

ご依頼のパーツの製作にあたって機械を選定し、CAD/CAMでプログラミングを行ったのですが、実装してみると素材に刃物があたらず空回ってしまって失敗。アメリカのCAD/CAMメーカーに問い合わせて可能性を探ってみたところ、CAD/CAM自体のバグが見つかりました。

 

 

その後、新たに樹脂用の刃物を取り寄せたものの、刃が折れてしまったりしてまたまた失敗。ちょうどいい刃も見つかり、何度も何度も試行錯誤を重ねました。製作の過程でいちばん大変だったのは、絶妙な角度の割り出し。

 

★削り出しの様子はコチラ⇒ジュラコン削り出し動画

 

仕上げに向けてのブラッシュアップ工程では長野県と遠隔でやり取りをしていたのですが、微妙なニュアンスを口で伝えるのは困難だと判断された前田さんが、長野県から車を走らせてはるばる弊社の工場まで来られて熱心に説明してくださいました。

 

 

そのおかげもあり、満足していただけるパーツが完成!

チェアの脚の先にピタッと収まって、ついに前田さんのOKが出ました。

 

 

ラインが美しい、僕好みのチェアです。

 

 

 

デンマークのデザインフェスティバル「3days of Design」出展の結果は、「大成功でした」「かなりの反響がありました」と前田さんからご連絡をいただきました。

…と同時に、前田さんの口から「改善点が見つかりましたので、また大阪に伺います」という言葉が。細部のクオリティにこだわる前田さんのものづくりへの探究心は、とどまることを知りません。

 

 

今回、嬉しかったことがもう一つ。

当プロジェクトで、アトリエm4さんと取引のある溶接屋さんとつながることができました。その方の工房が深江ファクトリーのご近所だったことにびっくり。ご縁をいただいた溶接屋さんと、密に連携しながらお互いにいい仕事ができたのは貴重な経験でした。

 

大阪の小さな町工場で機械オタクとして毎日コツコツ働く僕に、いつも大きなチャレンジの機会を与えてくださる前田さんには大感謝です。

今回もいい刺激をいただいてしまいました。本当にありがとうございます!

 

それではまた次回!

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